プライミング効果というものがある。
あらかじめ被験者に「ライオン、ゾウ、キリン」といった単語を見せておき、「スピードの速いものを教えてください」と質問すると、「チーター」「馬」といった答えが返ってくる。実際には「光」「新幹線」「戦闘機」など、より速いものはたくさんあるのにもかかわらず、被験者は自らの答えのイメージを「動物」に限定してしまう。
他にもこんな実験がある。
ニューヨーク大学の大学生に対して、「彼」「見つける」「それ」「黄色」「すぐに」などの5つの単語のセットから4つの言葉を拾い、「彼はすぐにそれが黄色だとわかった」というような短文を作るという実験が行なわれた。
その際、あるグループには5つの単語の中に1語だけ、「フロリダ」「忘れっぽい」「禿げ」「ごま塩」「シワ」など、高齢者を連想させる言葉を混ぜておいた。
そして、文章作成のテストの後、学生たちを「別の実験を行ないます」と別室に移動させ、その移動時間を計測した。
すると、高齢者関連の単語をたくさん扱ったグループは、他のグループよりも歩く速度が遅くなるという結果が出たのだった。
直接、高齢者や老人という言葉が1つも出てこないにも関わらず、高齢者という概念をイメージさせる先行刺激を与えただけで、歩く速度が遅くなるという行動につながったのだった。
この実験には続きがあり、単語から短文を作る文書作成の逢えに部屋から部屋へ移動する際、あるグループには「普段の3分の1のスピードで歩いてください」と指示するパターンもあった。
この場合、ゆっくり歩かされたグループは、高齢者をイメージさせる単語に対する認識速度が上がるという結果も出ている。
これと近いもので、「大学教授」についてイメージさせるだけで、テストのスコアが上がったという実験結果もあるそうだ。
感想
人はイメージに釣られるようにできている。自然な反応だと言える。
だからこそ私たちは身の回りにあるものや状況を選ぶべきだし、使う言葉にも気遣う必要があるのだろう。汚い言葉に触れていれば汚い人間になるだろうし、やる気のない人に囲まれていればやる気のない人になっていくだろう。腐ったミカンはやはり周囲を腐らせるのだ。その逆もまた然りである。
できればいい言葉やいいイメージだけに囲まれて暮らしたいものである。
この話が載っていたのはこちらの書籍。
自分を操る超集中力 | ||||
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